国土交通省をはじめとする、公共発注機関で発注する工事の手続きについては、「会計法」、「予算決算及び会計法」(以下「予決令」という)および「地方自治法」等の規定により落札の方式が規定されています。一般的には競争入札により発注契約の相手方が決定されますが、この際、予定価格が前もって適正に設定される必要があります。予定価格の作成については、「予決令」第80条第2項では、「予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需要の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない」とあります。
公共建築工事の積算は、工事を発注するに当り契約の相手方を決定するために、予定価格を適正に設定するためのものであって、一企業の実績をもとに計算される受注者側の積算とは違い、市場の取引や施工実績の調査、統計分析等が重要な価格決定の要素となっています。
従来から建築工事の積算には、工事に必要な材料費、労務費、下請経費等の標準的な数値として設定した「歩掛」等を用いた、積上げ積算いわゆる歩掛積算方式が行われてきていました。
昨今の建築工事の積算においては、環境保全、新工法・新材料の採用、国際化の進展および施工形態の変化等に対して、様々な対応が求められてきています。そこで材料費、労務費、下請経費等をまとめて実際に取引されている市場調査価格を持って、そのまま積算に直接使えば、積算事務の効率化が図られるというものが「市場単価方式」です。